2025年度の日本車メーカーはトランプ政権の自動車・部品への追加関税(当初25%、2025年7月22日の日米合意で15%に着地。ただし鉄鋼・アルミは別枠50%、部品関税も別建てで残存)に翻弄され、北米偏重組が最も打撃を受けた。負担は巨額で、SUBARUは通期で約2,290億円の関税純負担・営業益約7割減(四半期は赤字転落)、メキシコ生産分に25%・日本輸出分に15%が乗るマツダは上期だけで約971億円の減益。現地生産比率の高いトヨタ・ホンダ系は相対的に耐性を見せたが無傷ではなく、トヨタは最大約100億ドル、ホンダも年約30億ドル規模の利益押し下げを想定する。世界的なEV販売の伸び鈍化(米IRA見直し・欧州補助金縮小)でハイブリッドが再評価され、トヨタ・ホンダのHV/PHEVが収益を下支えする「HV回帰」が鮮明になった。為替は基調として1ドル150円前後の円安が輸出採算を助けたが、期中には円高方向の減益要因も併存し(SUBARU等が決算で併記)、関税負担との綱引きで増益効果は相殺された。なおSUBARUのPER「6倍」は正常化・予想利益ベースの数字で、関税ショックで実績利益が激減した結果TTM実績PERはむしろ約16倍に上昇しており、利益水準そのものが不安定化して市場の評価が割れている局面である。
トランプ関税は15%で固定化されつつあるが、鉄鋼・アルミ・部品の別建て関税を含め恒久的なコスト要因として残る。各社は米国現地生産シフト(ホンダのオハイオ、北米比率が元々低く影響軽微なスズキ)と価格転嫁・モデルミックス見直しで吸収を急ぐ。中国は「撤退・縮小が現実味」という段階を越え既に進行・確定フェーズで、三菱は中国生産から実質撤退、SUBARUの月販は約100台レベル、ホンダは5年連続減で2025年に約24%減・約65万台、日系ビッグ3合算シェアはピーク約23%から9%未満へ縮小した。失地を埋める主戦場は新興国で、スズキはインド四輪で約4割(FY2025で40〜41%)のシェアを握り首位を保つ——ただしSUV化とタタ・マヒンドラ台頭で2020年の5割超から低下が続いており、絶対水準より「新興国でなお首位を維持できるか」が論点。中期的にはSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)と次世代電動化への巨額投資が分水嶺で、デンソーやブリヂストンのようなTier1/素材勢も電動化・タイヤ高付加価値化(EV専用・センシング)で再編の波に向き合う。