国内食品・飲料は「値上げ疲れ」局面に入り、2025年も原材料・人件費インフレを価格転嫁で吸収する力が勝敗を分けた。たばこのJTは紙巻減少を加熱式(プルームX)と海外シェア・高単価戦略でカバーし、利益率22%・累進配当で「実質ディフェンシブ高配当株」として君臨する一方、ビールはアサヒGHDがスーパードライの世界展開と豪Asahi Beveragesで稼ぐ多国籍企業化が進む。2025年9月のアサヒへのランサムウェア被害で国内出荷が一時停止し供給網の脆さが露呈したのは記憶に新しく、キリンHDは健康・医薬(協和キリン)を抱える多角化型として性格が異なる。
最大の構造変化は味の素で、調味料の安定収益に加えABF(味の素ビルドアップフィルム)がAI半導体・データセンター向けハイエンドパッケージ基板の必須材料として需要が急増し、市場は「食品株」でなく「AI半導体素材株」として再評価(PER50倍超)している点が論点。円安は海外売上比率の高いJT・アサヒ・味の素の海外食品を押し上げる追い風だが原材料輸入コスト増と表裏一体で、2026年は日銀利上げに伴う円高反転リスクが業績モメンタムを左右する。たばこは各国の増税・規制とドル/円が収益を支配し続け、味の素のバリュエーションはAI設備投資サイクルの持続性に賭けた「食品にしては高い株価」をどこまで正当化できるかが焦点。