日本の小売は「勝ち組の二極化」が鮮明。ニトリHDは円安・原材料高をSPA(製造小売)の垂直統合で吸収し、FY2026/3で営業利益率13.8%(売上収益9,122億・営業利益1,255億)という小売では破格の収益性を維持し、家具からアパレル・コスメへ業態を広げる一方、輸入比率の高さゆえ為替の急変動は業績ブレ要因として残る。セブン&アイHDはカナダのアリマンタシォン・クシュタールから約7兆円(約470億ドル)規模の買収提案を受けたが、提案側が「誠実な協議がない」として2025年7月に提案を撤回。これを機にコンビニという成熟・寡占インフラの収益価値が市場で再評価され、株主からはヨーカ堂・そごう西武の切り離しと祖業集中を迫られる構図が続く。対照的にイオンは食品スーパー・GMSの低マージン構造で営業利益率2%前後にとどまり、連結10兆円超の規模はあっても小売本業の収益性では他2社に大きく見劣りする。
クシュタールによる約7兆円の買収提案は2025年7月に撤回され、外資による日本最大級の買収劇は頓挫した。ただしこの一件はコンビニという寡占インフラの収益価値を市場に再認識させ、セブン&アイには約4,000億円規模の自社株買い・ヨーカ堂/そごう西武の切り離し・北米事業の上場検討といった株主価値向上策が引き続き迫られている。焦点は買収の成否ではなく、「買収提案が突きつけた構造改革圧力の帰趨」に移った。円安・人件費上昇・物流費高が続くなか、ニトリのようにSPAで原価を握る企業と、仕入れ転売型で価格決定権の乏しいGMSとの収益力格差はさらに開く見込み。インバウンド消費と値上げの定着が追い風だが、実質賃金の伸び悩みで消費者の節約志向(ディスカウント・PB回帰)も強く、客単価と客数のせめぎ合いが続く。