2025年度の国内鉄鋼は、中国の過剰生産による輸出ダンピングと粗鋼内需の低迷(自動車減産・建設停滞)で数量は弱含み、日鉄YoY-2%・JFE YoY-6%が示す通り構造的な縮小局面にある。勝ち組は「量より値・付加価値」へ舵を切った日本製鉄で、電磁鋼板(モーターコア向け無方向性鋼板)など高級鋼と海外シフトで稼ぐ一方、JFEは西日本製鉄所(倉敷)の高炉1基休止に踏み切り国内固定費の圧縮で延命を図る。日鉄が約2兆円を投じたUSスチール買収完了(2025年6月、米政府との国家安全保障協定・黄金株付き)が、内需縮小を米国市場で補う最大の構造変化となっている。
今後はUSスチール統合の果実(トランプ関税25%の壁の内側で米国生産を持つ強み、計約110億ドルの投資コミット)が日鉄の成長ドライバーとなる一方、買収に伴う有利子負債とのれん、ガバナンス制約がリスク。国内は脱炭素が最大テーマで、両社とも高炉から直接還元鉄・大型電炉へのGX移行(グリーン鋼材「NSCarbolex」等)に巨額投資を迫られ、グリーンスチールのプレミアム転嫁が定着するかが収益を左右する。EV・データセンター向け電磁鋼板需要と防衛・インフラ更新が下支え要因、中国安値輸出と円安による原料(鉄鉱石・原料炭)高がマージン圧迫要因として綱引きする。